廃倉庫マッチ開始
無人の廃倉庫。
天井から差し込む夕方の光が、リングのように二人を照らしていた。
「初対面だけど……手加減はしないでくださいね」
リンが静かに言う。
ミナは頷いた。
「もちろんよ。負けたら素直に認める。それがこのアプリのルールだもの」
ゴングは鳴らない。合図はアプリのカウントダウンだけ。
3…2…1…
開始。
ミナが先に踏み込んだ。
低い姿勢から強烈な前蹴り。筋肉質な脚が空気を切り裂く。
リンは半歩横に避け、ミナの腕を掴もうとするが――
ミナはすぐに回転し、肘打ちを放つ。
「っ……!」
リンの肩に重い衝撃が走った。
リンは後退しながら冷静に呼吸を整える。
「やっぱり、攻めが速い方ですね……」
「誉め言葉として受け取るわ」
ミナは追撃。
連続のローキックがリンの脚を削る。清楚なボブヘアが揺れる。
リンは防御に徹し、タイミングを待った。
そして一瞬――ミナの攻撃がわずかに途切れた。