ポン酢は、日本の調味料文化の中でもかなり特異な存在です。単なる「酸っぱいタレ」ではなく、柑橘、発酵、出汁、塩味、香り、そして季節感までを一体化させた液体で、日本料理の思想がかなり濃縮されています。長く語れと言われたら、かなり語れます。
まず名前からして面白い。「ポン」はオランダ語由来の「pons(パンチ)」説が有力で、江戸時代に入ってきた柑橘系飲料が起源だと言われます。そこへ日本側が「酢」を結びつけて「ポン酢」になった。つまり、語源だけ見ると国際交流の産物です。にもかかわらず、完成形は非常に日本的です。
現代のポン酢は大きく二系統あります。
• 柑橘果汁+酢だけの「ポン酢」
• そこに醤油や出汁を加えた「ポン酢醤油」
一般家庭で「ポン酢」と呼ばれているものの大半は後者です。鍋で使うあれです。
しかし、この「醤油と柑橘を合わせる」という発想がかなり革命的なんです。
醤油は発酵由来の深い旨味と香りを持つ。一方、柑橘は非常に揮発性が高く、爽やかだけど持続しにくい。普通ならぶつかりそうなのに、出汁を間に入れることで香りと旨味の橋渡しをしている。つまりポン酢は、